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「子どもが欲しい女性は年下男性をパートナーにすべき」って本当?

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男性が子供を作る年齢に制限はあるのでしょうか

 晩婚化にともなって、初めて子供を授かるお父さんの年齢も高くなってきています。

 私も40歳過ぎてから子供ができましたが、保育園の他のお父さんたちとそれ程年齢のギャップは感じません。

 「子どもが欲しい女性は年下男性をパートナーにすべき」というのがYAHOOニュースに出ていました。ハーバード大学医学大学院のグループがヨーロッパ生殖学会で発表し海外でも話題になっています。

 体外受精を受けた7753カップルの研究で、男性の年齢が生児獲得率(赤ちゃんを産める率)に影響していると報告されました。

 30~35歳の女性では、パートナーの男性が30歳以下だと生児獲得率が70%、30~35歳では54%であったと報告しています。

 また、30歳以下の女性では、パートナーの男性が30~35歳だと生児獲得率が73%、40~42歳では46%だそうです。

 年齢の影響は女性の方が大きくて、40~42歳になると30歳以下の時とを比べて、生児獲得率が、女性は46%低くなるし、男性は20%低くなると報告しています。

 40歳以上の女性では、男性の年齢による生児獲得率の違いはなくなります。

 これまでにも男性の年齢と妊娠に関する報告はかなりありますが、自然妊娠、体外受精いずれでも、男性が40歳を過ぎると、赤ちゃんができにくくなったり、できるまでの期間が長くなると報告されています。

 男性には閉経はないので、高齢になっても精子は作られていますが、なぜ赤ちゃんができにくくなるのでしょうか。

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年齢とともに精子は少なくなるのか

 2015年に発表された93,839人のデーターによると、精液量・総精子数・運動率とも年齢とともに低下していくと報告されています。

 35歳くらいから少なくなり始めて、45歳を過ぎると加速するようです。

 ただし、少なくなるといっても20歳と40歳を比べても10%くらいの低下なので、それだけで妊娠しにくくなるとも言えない気がします。

年齢と性交渉

 男性の年齢が高くなると赤ちゃんができにくくなることの理由として、性交渉の回数が少なくなることが考えられます。

 年齢とともに性交渉の回数が少なくなるのは確かだと思います。回数が少ないとチャンスが少なくなるということだけでなく、射精する間隔が長くなると(貯めている時間が長いと)射精される精子の質が悪くなってしまいます。精液検査は2~4日の禁欲期間でするのがいいのでしたね。

 40歳代の10%くらいに勃起障害があるとされているので、それも妊娠しにくい原因となります。高齢になるとこっそり男性ホルモンの入った薬をのんでいることもあるようですが、男性ホルモンの薬を飲むと精子が少なくなってしまうのでやめましょう。

年齢による病気の妊娠への影響

 50歳で30%の男性に前立腺肥大があるといわれています。前立肥大になると、尿が出にくい、頻尿、残尿感などの症状が起こります。

 前立腺肥大が進むと、射精障害・精液の量が少なくなるなどによって妊娠しにくくなる可能性があります。

 また、前立腺肥大に使われる薬は精子の数を少なくしたり、射精障害の原因となることがあると言われています。

男性の年齢の胎児・赤ちゃんへの影響

流産率・死産率への影響

 流産率は男性が20歳代の場合と比べて、40歳代だと1.6倍、50歳代だと1.9倍に高くなるという報告があります。流産率は変わらなとする報告もあり、流産率は男性の年齢とともに増える可能性がありますが、はっきりと証明するデーターはありません。

 死産率は、32歳の男性と比べると、40歳で1.23倍、50歳で1.36倍に高くなるという報告があります。男性の年齢とともに死産率も高くなるようです。

 早産や胎児の発育が悪いなどへの影響は、はっきりしていません。

胎児・赤ちゃんの異常・奇形

 男性の年齢が高くなると生まれた子供がいろいろな病気になる確率が高くなるとされています。

病名 男性の年齢 一般の発生率 年齢による発生率 何倍になるか
軟骨無形成症 50歳以上 1/15,000 1/1,923 7.8
アペール症候群 50歳以上 1/50,000 1/5,263 9.5
クルーゾン症候群 50歳以上 1/50,000 1/6,250 8
口蓋裂   15/10,000    
合指症   5/10,000    
小児白血病 40歳以上 1/25,000 1/21,930 1.14
小児中枢神経腫瘍 40歳以上 1/36,000 1/21,302 1.69

 最初の3つは遺伝子の突然変異で起こる病気で、主に骨の形成の異常です。

 口蓋裂・合指症などの異常も増えるようですが、リスクは2倍まではいかないくらいです。

 白血病などの小児の悪性疾患もわずかですがリスクが増えます。

 ただし、これらの病気はもともと頻度が高いものではないので、それ程気にすることもないように思いすが、どうでしょうか?

 生まれた子供が自閉症や統合失調症になる可能性も、男性が40歳以上だと1.5~2倍くらい高くなるとされています。精神的な問題は、生まれてからの環境の影響もあると思います。

 年齢といえばダウン症候群などの染色体異常が増えるのかが気になるところですが、男性が40歳以上だと1.4倍くらいリスクが増えるという報告もありますが、影響なないという報告もあり、あったとしても女性の年齢ほどの影響はないようです。

体外受精をする時に男性の年齢の制限をするか

 体外受精を受ける女性の年齢に制限をもうけている病院は多いと思います。一方で、男性の年齢制限は決めていない病院が多いのではないでしょうか。なかには男女合わせて100歳以下を体外受精をするリミットにするといった病院もあります。

 女性の閉経年齢を目安としたような年齢制限を男性に設定するのは難しいですが、今回解説したようなリスクを説明した上で治療を開始する必要があると思います。

まとめ

 不妊治療をする年齢の限度については、生まれた子供の養育も考える必要があったりして、とても難しい問題です。夫婦のガッツが重要だと書いてある論文もあります。

 今後、男性も晩婚を考えている人は若いうちに精子を凍結保存しておくなどということになるかもしれません。

 

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