オメガ-3脂肪酸の妊活への効果は
多嚢胞性卵巣症候群への環境の影響の記事を書くのに論文を読んでいたら、オメガ-3を取り上げている論文がいくつかあったので、今回はオメガ-3について調べてみました。
オメガ-3は中性脂肪を低くする働きがあります
オメガ-3は必須脂肪酸のひとつで、人が生きていく上で必要な栄養素ですが、自分での合成することができないので、食事で取る必要があります。
オメガ-3脂肪酸には、植物性油に含まれているαリノレン酸と、魚油に多く含まれるEPA・DHAがあります。EPAとかDHAってサプリで聞いたことありますよね。
EPAやDHAは実際に中性脂肪を低くする医薬品として使われています。
オメガ-3の働き
- 血液をサラサラにする
- 認知症を予防する
- 視力を回復する
- アレルギーを予防する
- 美肌・アンチエイジング?
このように、いろいろな働きがあるので、「よい脂肪」などと呼んでいる人もいます。
厚生省が出しているオメガ-3の年齢・性別による食事摂取基準です。
目安量というのは、このくらい摂取すれば不足にはならないだろうという量です。
また、DHAとEPAには目標量が設定されています。
目標量というのは、日本人にとって不足していると考えられる栄養素で、生活習慣病を予防するために、最低このくらいは摂取することを目標とすべき量です。
DHAとEPAを1日1g以上摂取するには、魚を約90g食べる必要があります。
30~49歳の女性の平均のDHAとEPAの1日摂取量は0.23gくらいなので、目標量には達していませんね。
多嚢胞性卵巣症候群とオメガ-3
オメガ-3の多嚢胞性卵巣症候群への効果を調べた論文は、それ程多くはありません。
EPA+DHAを1日0.3gで6ヶ月間内服すると、偽の薬を内服した人と比べて、ウエストが約3cm細くなった、生理の周期が47日から30日に短くなった、中性脂肪が少なくなったとする論文があります。
また、オメガ-3を1日3gで8週間内服すると、偽の薬を内服した人と比べて、生理が順調になった人が約2倍いた、男性ホルモンが低くなったとする論文もあります。
耐糖能異常が良くなるかについては、良くなるという論文と変わらないという論文があって、はっきりしません。
多嚢胞性卵巣症候群の人がオメガ-3を飲むとなぜ生理が順調になるのかはわかっていません。論文の数も多くないので、本当に効果があるのかは追加の研究が必要です。
オメガ-3の多嚢胞性卵巣症候群以外への影響
オメガ-3を多く摂取している人は、少ない人と比べて子宮内膜症になる可能性が22%少なくなるというデーターがあります。同じ論文で、オメガ-3の摂取量が多くなると不妊症になる割合が少なくなるというデーターもありました。
まとめ
オメガ-3は多嚢胞性卵巣症候群の人の生理を順調にする作用がありそうですが、まだ効果が確実に証明されているわけではありません。
中性脂肪が高めの多嚢胞性卵巣症候群の人はオメガ-3のサプリメントを使うことを考えてもいいかもしれません。
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