妊娠12週まではワクチン接種を避ける
日本産科婦人科学会の「お知らせ」には、『器官形成期(妊娠 12 週まで)は、ワクチン接種を避ける』と書いてあります。
「妊娠12週までにワクチンを接種すると胎児に異常がでる」わけではありません。データがないのでとりあえずこの時期はやめておこうということです。
妊活中や妊娠中の人から、新型コロナウイルスワクチンを打ってもいいのかとの質問を多く受けています。他の記事に書いたようなメリット・リスクを説明しますが、今のところワクチンを打たないと決める人が多いです。
新しいワクチンのリスクに対する不安と、新型コロナウイルスの感染が自分の身に差し迫っていると感じていないからだと思われます。
最近、妊娠中でもワクチンを接種することを推奨する条件が書いてある論文が出たので紹介します。
こんな人は妊娠中でも新型コロナウイルスワクチン接種を推奨
日本産科婦人科学会の「お知らせ」には
『感染リスクが高い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している方は、ワクチン接種を考慮する。』
と書いてありますが、この論文にはより詳しい条件が書かれています。
- ヘルスケア従事者
- 35歳以上
- 多胎妊娠
- 悪性腫瘍合併
- 高血圧
- 慢性腎疾患
- 閉塞性呼吸器障害
- 心疾患(心不全・狭心症・心筋炎など)
- 免疫力低下
- 自己免疫疾患
- 肥満(BMI30以上)
- 糖尿病
ほとんどが、新型コロナウイルス感染が重症化しやすい一般的な条件です。
妊婦独自のものとして、多胎妊娠があります。
多胎妊娠は妊婦の心臓や呼吸に大きな負担がかかるので、重症化のリスクとなると考えられます。
新型コロナウイルスワクチンを打たない方がいい(打てない)人
妊娠12週までの人
今後のアメリカなどでの臨床試験の追加データによっては、この条件はなくなるかもしれません。
あとは一般的なことですが、ファイザー社のワクチンの添付文書には以下の記載があります。
2. 接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)
2.1 明らかな発熱(37.5度以上)を呈している者
2.2 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
2.3 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある者
2.4 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
ファイザー社ワクチンの成分(添加物)は
ポリエチレングリコールは、医薬品・医薬品添加物、ヘアケア・スキンケア製品、洗剤、顔料分散剤、潤滑剤、バインダーなど、さまざまな用途に使用されています。
花粉症、食物アレルギーなどは関係ないと言われていて、ファーザー社の臨床試験でも除外対象にはなっていません。
とはいえ、過去にアナフィラキシーなどの重症なアレルギーを起こしたことがある人は医師とよく相談した方がいいと思います。
その他に『予防接種を受けるにあたり注意する人』として以下のものがあります。
- 抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害のある人
- 過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
- 心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
- 過去に予防接種を受けて、接種後 2 日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
- 過去にけいれんを起こしたことがある人
- 本ワクチンの成分に対して、アレルギーが起こるおそれがある人
過去にけいれんを起こした人という項目があります。
新型コロナウイルスワクチンの副反応に「けいれん」という記載は見当たりません。
ワクチン接種後にけいれんを起こすことがまれにあり、子宮頸がんワクチンで問題になりました。そのことを踏まえてこの項目が入ったのかもしれません。
新型コロナウイルスワクチン接種の予診表
実際に使われる予診表です。
回答欄に問題なければ(すべて白色の方にチェック)接種可能です。
まとめ
現在日本では妊娠12週までは接種しない。
感染リスクが高い人・重症化リスクが高い人は接種を考慮する
ワクチンを受けることができない・注意が必要に当てはまらないかチェックする