生殖補助医療の妊娠中の合併症、赤ちゃんの体重への影響
体外受精・顕微受精で妊娠した時には、自然妊娠と比べて先天異常が30%くらい多くなるというお話をしました。
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生殖補助医療による先天異常のリスクを論文で確認ます。 体外受精などの生殖補助医療を受けることになった時、赤ちゃんに異常が出る確率が高くなるのでは?というのが心配がありますよね。 ネットでは体外受精 ...
妊娠中の合併症や生まれた赤ちゃんの体重などへの影響はあるのでしょうか。論文を調べてみました。
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妊娠高血圧症候群が多い
妊娠高血圧症候群とは
以前は妊娠中毒症と呼ばれていました。妊娠中に高血圧・タンパク尿・むくみが出てくる状態です。高血圧がメインであるため妊娠高血圧症候群と呼ばれるようになりました。
妊娠すると3~4%に発症するとされています。
子癇(痙攣)発作、常位胎盤早期剥離、胎児発育不全などが起きやすくなります。
多くの論文で、体外受精・顕微受精で妊娠した人は、自然妊娠と比べて妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなる(30~100%くらい)とされてます。
理由はわかっていませんが、胎盤の血管の異常・体外受精のストレスの影響などが原因となっている可能性が指摘されています。
妊娠糖尿病が多い
妊娠糖尿病とは
妊娠中に尿に糖が出たり、血糖が高くなるのが妊娠糖尿病です。もともと糖尿病の気がある人が、妊娠の負担によって発症することが多いです。お産の後には治ることも多いですが、将来糖尿病になる可能性が高くなるので注意が必要です。
妊娠糖尿病の頻度は7~8%くらいと推測されますが、全ての妊婦に精密検査をすると12%くらいが妊娠糖尿病と診断されます。
妊娠高血圧症候群・羊水の異常・網膜症・腎症・巨大児・赤ちゃんの血糖異常などの合併症が起こることがあります。
多くの論文で、体外受精・顕微受精で妊娠した人は、自然妊娠と比べて妊娠糖尿病になるリスクが高くなる(30~90%くらい)とされてます。
体外受精を受ける人には多嚢胞性卵巣症候群の人がそれなりにいることが理由のひとつと思われます。多嚢胞性卵巣症候群の人は糖尿病予備軍でしたね。
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胎盤の異常が多い
前置胎盤、常位胎盤早期剥離などの胎盤の異常が多くなります。
前置胎盤は胎盤が子宮の出口にかぶさってしまった状態なので、分娩には帝王切開が必要になります。妊娠中や帝王切開の時に出血が多くなるリスクがあります。
常位胎盤早期剥離は子宮の中で胎盤が剥がれてしまう状態で、突然起きて胎児や母体が非常に危険な状況になります。
前置胎盤・常位胎盤早期剥離とも通常の頻度は1%くらいですが、体外受精・顕微受精で妊娠した人は、前置胎盤や常位胎盤早期剥離になるリスクが2倍くらいになります。
体外受精では自然妊娠とは違う状態で受精卵が子宮の中に入るので、着床の場所や、胎盤の育ちに影響して胎盤の異常が起こりやすくなると思われます。
常位胎盤早期剥離は妊娠高血圧症候群の人がなりやすいというのも影響していると思います。
早産が多い
体外受精・顕微受精で妊娠した人は、妊娠37週以前の早産になるリスクが1.5~2倍くらいになります。
排卵誘発の注射をしたための妊娠時のホルモンの影響、自然受精と体外受精で受精卵に微妙な違いがあるなどいろいろな理由が考えられていますが、はっきりした理由は不明です。
胎児の育ちが悪くなることが多い
体外受精・顕微受精で妊娠した人は、生まれた妊娠週数の平均よりかなり小さく生まれる赤ちゃんの割合が30%くらい多くなります。
糖尿病の人は赤ちゃんが大きくなることが多いので、糖尿病の人を除くと小さく生まれる割合がもっと増えるかもしれません。
その他
妊娠中の出血、前期破水、羊水異常などが多くなると言われています。
まとめ
体外受精・顕微受精で妊娠した人は妊娠中や出産時の異常が多くなります。
体外受精・顕微受精の処置が影響している可能性と、不妊治療を受ける人がもともとリスクを持っている人が多いからという可能性が考えられます。
日本産科婦人科学会の報告によると、2014年に体外受精・顕微受精で妊娠して生まれた子供の数は43,322人です。厚労省の人口動態統計よると2014年の出生数は100万3,539人なので、約23人に1人が生殖補助医療で生まれていることになります。
いろいろなリスクが高くなるといっても、多くの人は問題なく元気な赤ちゃんを産んでいます。
あまり心配しすぎず、でも注意しながら妊娠期間を過ごしましょう。
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