原因

妊活で一番治療に困るのが子宮腺筋症

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子宮腺筋症も不妊症の原因になります

子宮腺筋症図

 子宮腺筋症というのは子宮内膜症の一種なのですが、卵巣やお腹の壁にできるいわゆる子宮内膜症とは違った性質があるので別に扱われることが多いです。

 子宮腺筋症とは子宮内膜が子宮の壁(子宮筋層といいます)の中で増えて子宮の壁が厚くなる状態です。30歳代後半から40歳以上に見られることが多いです。

 子宮腺筋症の最も確実な治療法は子宮全摘術ですが、もちろん子供が欲しい人の子宮を取るわけにはいきません。

 子宮腺筋症が不妊の原因となっていることは比較的まれです。子宮腺筋症がひどくて不妊症の原因となっているような場合には治療するのがとても難しいです。

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子宮腺筋症の症状

  1. 生理痛がひどい
  2. 生理の出血が多い
  3. 生理以外の下腹痛

 生理が重いのが症状です。3割くらいの人は無症状です。

 大きくなれば膀胱や腸の圧迫症状もでてきます。

子宮腺筋症の診断

 超音波で子宮の壁が厚くなっているのがわかるので診断は比較的簡単です。

 子宮腺筋症がある場合、子宮筋腫もあることが多いです。

 子宮内膜症の一種なので採血でCA125が高くなることがあります。

 MRIを撮ると確実に診断できて、腺筋症の状態もよくわかるので、手術をする時などにはMRIを撮ります。

子宮腺筋症

 実際のMRIの写真です。子宮を横から見たところです。下の白いのは尿が貯まった膀胱で、右には背骨と尾てい骨が見てています。真ん中が子宮で、子宮の中の白いところが子宮内膜です。子宮の壁が霜降りのようで厚くなっているのがわかりますか?これが腺筋症です。

 このくらいの子宮腺筋症だと、かなり生理が重くなるし、着床障害や卵管機能異常などによって妊娠しにくくなると考えられます。

 正常な子宮と比べて見てください。

MRIの子宮

 子宮の壁の厚さがぜんぜん違いますよね。

子宮腺筋症は不妊症の原因になるのか

 子宮腺筋症があると、受精卵が着床しにくくなる・精子が卵管までたどり着きにくくなる・卵管の動きが悪くなるなどのために妊娠しにくくなると言われています。また、子宮腺筋症があると子宮筋腫や子宮内膜症もあることが多いので、そのせいでも妊娠しにくくなります。

子宮腺筋症の治療

 まずは通常の不妊治療を行なって、人工授精でも妊娠しない場合以下の治療を考えます。

GnRHアゴニスト(スプレキュア、リュープリンなど)

 GnRHというのは脳の視床下部から出て脳下垂体からのFSH、LHの分泌を促すホルモンです。

 この作用を持つGnRHアゴニストを多量に使い続けると、逆に脳下垂体からFSHやLHが出なくなってしまします。すると排卵も起きなくなり、卵巣からエストロゲンも出なくなるので、閉経と同じような状態になります

 子宮腺筋症はエストロゲンがなくなると縮んでいきます。子宮腺筋症を縮小させることによって妊娠しやすくなることを期待します。

 しかし、この薬を使っている間は排卵しないので妊娠することができません。効果が出るのに少なくとも2~3ヶ月はかかります。また薬をやめるとすぐにエストロゲンが出るので、半年後くらいには元に戻ってしまうことが多いです。なので妊娠しやすくなる効果があったとしても一時的なものになります。

 体外受精の前にこの薬を2~3ヶ月使って子宮腺筋症を縮小させて、受精卵が子宮に着床しやすい状態になったところで、受精卵を戻すなどといったふうに使われることがあります。

 GnRHアゴニストを2~3ヶ月使ってから体外受精をすると、妊娠率がGnRHを使っていない時(25%)と比べて高くなった(30%)という論文があります。

手術(子宮腺筋症核出術)

 子宮腺筋症は子宮の壁の一部にだけに限られてある場合があります。そのような場合には子宮腺筋症のある壁をくり抜く手術をすることあがあります。子宮腺筋症核出術です。開腹もしくは腹腔鏡で行われます。

子宮腺筋症

 このような場合、子宮の後ろの壁に腺腺筋症があるので、そこだけくり抜くことが可能です。

 子宮腺筋症と正常筋層の境目はわかりにくいので、腺筋症の部分を取り残さないようにするのは難しいです。手術後の再発率は10~30%と報告により様々です。

 術後の妊娠率も20~60%と報告によって大きく違っています。

 手術後は子宮の傷が治るまで3~6ヶ月の避妊が必要です。また妊娠した場合、お産は帝王切開が望ましいと考えられます。

 子宮腺筋症核出術はどこの病院でも行われている手術ではなく、その有効性を検証するにはこれからのデーターの蓄積が必要です。もしあなたが子宮腺筋症があると言われた時に、「手術で取れますか?」と先生に聞いたとしても、無理だと言われることが多いと思います。

 私も10例くらい執刀したことがありますが、筋腫核出術と比べて、どこまで取ればいいのかわかりにくく、出血も多くなりやすくて難しい手術です。

妊娠した後の問題

 子宮腺筋症があると妊娠した後にも影響があります。流産・早産・前期破水などが多くなります。

まとめ

 子宮腺筋症の効果的な治療は、GnRHアゴニストで生理を止める、子宮を取るなど不妊症の治療とは相反するものになります。

 腺筋症核出術による治療に期待がかかりますが、難しい手術なので、まだどこでも行われているわけではありません。手術により妊娠しやすくなるかも今後の検討が必要です。

子宮腺筋症
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