頸管粘液検査を産婦人科医が解説します
排卵日近くになると子宮の入り口に頸管粘液が出て、精子が子宮の入り口を通って子宮の中に入っていく環境が整います。
頸管粘液がちゃんと出ているのか検査するのが、頸管粘液検査です。
頸管粘液とは
頸管粘液は卵胞ホルモンの刺激によって、子宮頸管にある腺細胞が作ります。
卵胞ホルモンの量は生理の時期によって大きく変わるので、頸管粘液も生理の時期のよって変化します。
具体的には、まず生理後にかなりネバっとした粘液が出始めます。排卵の数日前から増えて、水っぽくて透明な粘液になります。頸管粘液がこの状態になったときだけ、精子が子宮の中に入っていくことができます。
多い日には1日数mlの頸管粘液が出ます。
排卵後は、黄体ホルモンの作用によってネバネバ状になって、子宮の入り口をふさいで、それ以上精子が入ってこないようにします。
頸管粘液検査
今までの生理の周期、基礎体温、超音波などから排卵日を予測し、排卵の前日もしくは当日に検査をします。
頸管粘液を注射器で吸い取って、顕微鏡で見ます。ヒューナーテストと同時することが多いです。
排卵日近くには、
- 量が0.3ml以上
- 水様
- スライドグラスに置いた頸管粘液に注射器をつけて持ち上げると、9cm以上のびる
という状態になっていれば正常です。
頸管粘液検査が異常になるのは?
もちろん、ちゃんと排卵していなければ卵胞ホルモンが出ないので、頸管粘液も増えません。
排卵しているということは、卵胞ホルモンが出ていると考えて良いのですが、それでも頸管粘液が出ないのは、頸管の腺細胞の働きが悪いということになります。なぜ腺細胞が働かないかは、ほとんどの場合原因がわかりません。
排卵誘発のためにクロミッドを飲んでると、クロミッドのエストロゲンの働きをじゃまする作用のために、頸管粘液が出なくなることがあります。そうなると、せっかく排卵しても、精子が子宮に入れず、妊娠できなくなるので注意が必要です。
頸管粘液検査が異常な時は
排卵日近くに頸管粘液が出ないと、精子が子宮の中に入っていけないということになるので、人工授精で精子を子宮の中に注入するのを考える必要があります。
頸管粘液検査は検査のタイミングが重要なので、1回異常だったからといって、すぐに人工授精ということにはなりません。
頸管粘液検査が異常=ヒューナーテストが異常ということになると思うので、繰り返し異常なら人工授精が必要になります。
まとめ
頸管粘液検査は昔からある簡単な検査ですが、今もほとんどの病院で行われている重要な検査です。