新型コロナウイルスワクチンを接種する前に知っておくべきこと
新型コロナウイルスワクチンには副反応(副作用)があります。
軽くて特に問題にならないものから、まれですが重症になるものまであります。
理論的には新型コロナウイするワクチンが直接的に妊娠や赤ちゃんに問題を起こす可能性は低いのですが、もし副反応が起きた時に何か問題はあるのでしょうか。産婦人科医が解説します。
新型コロナウイルスワクチンの副反応(副作用)
注射したところにでる副反応
赤くなる・はれる:10%くらいです。ひどいのは0.3%くらいです。
痛み:70%くらいです。強いのは1%くらいです。
全身の副反応
38度以上の発熱:初回は4%くらいです。2回目の注射では12%くらいになります
疲労感:35%くらいです。ひどいのは2%くらいです。
頭痛:30%くらいです。ひどいのは1%くらいです。
寒毛:12%くらいです。ひどいのは0.5%くらいです。
吐き気:9%くらいです。ひどいのはほとんどありません。
下痢:10%くらいです。ひどいのは0.1%くらいです。
筋肉痛・関節痛:20%くらいです。ひどいのは0.2%くらいです。
以上は初回の注射時のデータですが、2回目の注射では少し頻度が高くなるようです。
ちなみに、比較のために偽薬を注射した人にも、ワクチンを注射した人の半分くらいの頻度でそれぞれの副反応が起きています。
重症な副反応
ひどいアレルギー反応(アナフィラキシーショック)が重症な副反応になります。
多くが注射してから30分以内に発症しています。
重症なアレルギー反応を起こした人の80%以上は、もとから薬や食品のアレルギーを持っていた人です。
いまのところ、ファイザー社で約1000万回の接種で50人、モデルナ社で750万回の摂取で21人がアナフィラキシーを起こしています。アナフィラキシーは1回目の接種で起きることが多いです。
それほど重症でないアレルギー反応は、重症のケースの4倍くらいの頻度で起きています。
ファイザー社(50人) | モデルナ社(21人) | |
年齢の中央値 | 38.5歳 | 39歳 |
女性の割合 | 47人(94%) | 21人(100%) |
発症までの時間 | 10分(1以下~1200分) | 10分(1以下~45分) |
15分以内に発症 | 37人(74%) | 18人(86%) |
30分以内に発症 | 45人(90%) | 19人(90%) |
アレルギー歴あり | 40人(80%) | 18人(86%) |
アナフィラッキシー歴あり | 12人(24%) | 5人(24%) |
発症した接種回数 (1回目、2回目、不明) | 42, 3, 5 | 19, 1, 1 |
妊活中・妊娠中新型コロナウイルスワクチンを接種して副反応がでた場合の影響
注射したところに起きる副反応や全身の副反応で軽いものは、妊娠にほとんど影響はないと思います。
ひとつ気になるのは、2回目の接種の後には15%くらいで起きる発熱です。
妊娠初期に38度以上の高熱があると、赤ちゃんが神経管閉鎖障害になる可能性が高くなるという報告があります。神経管閉鎖障害の予防のために葉酸を飲んでいればその可能性を低くできるようです。神経管閉鎖障害については当ブログの他の記事を参照してください。
一方で、妊娠初期の発熱と赤ちゃんの異常には関連性がないとする報告もあります。
実際に新型コロナウイルスに感染してしまったら、もっと高熱が長く続くことになってしまいます。
もし妊娠中にワクチンを接種して熱が出た場合は、解熱剤としてアセトアミノフェン(カロナールなど)を飲むことが勧められます。
万一重症な副作用(アナフィラキシーショック)が起きたらどうなるでしょう。
全身に湿疹・かゆみがでて、唇が腫れて、呼吸困難・血圧低下など重篤な状況になります。呼吸困難・血圧低下となれば、母体・胎児ともに命に関わる状況になります。
すぐに治療すればひどい呼吸困難や血圧低下にならなくてすむことも多いので、接種後30分くらいは病院に残って様子を見た方がいいです。
ちなみに、いままでのデータでは、アナフィラキシーを起こすのは圧倒的に女性が多いです。
まとめ
妊娠に影響が出るように副反応が出る確率は、万にひとつ(以下)のようです。
妊娠中・妊娠中に新型コロナウイルスに感染してしまうリスクとの比較になります。