エンブリオ・グルーで受精卵を子宮内膜にくっつける
グルーとは接着剤のことです。エンブリオ・グルーは受精卵と子宮内膜をくっつけて着床しやすくする薬です。
実際に効果はあるのでしょうか?
エンブリオ・グルーってどんなもの?
エンブリオ・グルーは高濃度のヒアルロン酸が入っている培養液です。
ヒアルロン酸は美容関連でよく耳にしますよね。ヒアルロン酸を注入してシワを取る、関節に注射して痛みをよくする、お肌の保湿などに使われています。
ヒアルロン酸は卵管や子宮の中にもあって、着床する時に増えることがわかっています。
ヒアルロン酸は受精卵の移動や子宮内膜への接着を助けていると考えられます。
胚移植をする前に受精卵を10~30分間エンブリオ・グルーにつけておくことで、受精卵が着床しやすくなるのを期待します。特別なことをするわけではないので、比較的簡単にできます。
エンブリオ・グルーの効果
最新の(2014年)のコクランレビュー(多くの論文を集めてその治療の信頼性を検証するもの)ではエンブリオ・グルーを使うと、使わない場合と比べて生児獲得率が37%から46%に増えるとされています。エンブリオ・グルーは効果があると結論付けていますが、効果はそれほど大きくなく、追加の研究が必要としています。
高齢、受精卵の質が良くない、前回着床しなかったなどの場合により効果が期待できるとする報告もあります。
エンブリオ・グルーの安全性
エンブリオ・グルーはFDA(アメリカ食品医薬品局)によって安全性が承認されています。
エンブリオ・グルーを使用することで流産の増加、受精卵への悪影響などは認められていません。
コクランレビューではエンブリオ・グルーを使った場合、多胎妊娠が増えていたとされています。複数の受精卵を移植して、着床率が高いために多胎妊娠になってしまっているという可能性が考えられています。エンブリオ・グルーを使う時には単一胚移植が望ましいのではないかと思います。
エンブリオ・グルーの費用
エンブリオ・グルーを使っている病院はそれほど多くないと思いますが、エンブリオ・グルーを使う時の費用は5,000~20,000円くらいのようです。
まとめ
エンブリオ・グルーはコクランレビュー効果が認められていて、特にデメリットもありません。追加の費用はかかりますが、良い受精卵を戻しても妊娠しなかった時などには試してみる価値があると思います。