受精卵のグレードについて解説します
胚移植をするときに「グレードXXの受精卵を戻しました」などと言われることがあると思います。言われたグレードがどのような意味があるのか気になりますよね。
今回は受精卵のグレードについて詳しく解説します。
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初期胚のグレード
まず初期胚のグレードを解説します。初期胚とは受精してから2~3日目の受精卵のことです。
Veeckの分類というのが使われることが多いです。
グレード1:分割が均等で、フラグメンテーションがない
グレード2:分割が均等で、フラグメンテーションがわずか
グレード3:分割が不均一で、フラグメンテーションがわずか
グレード4:分割が均等または不均一で、フラグメンテーションが多い
グレード5:分割が不均一で、フラグメンテーションが著しい
フラグメンテーションというのは、細胞が分裂する時にできた切りくずみたいなものです。
グレードが良いと妊娠しやすいのでしょうか?
通常グレード1と2が良い初期胚と考えられています。しかし、グレード1・2とグレード3・4の初期胚を比べても妊娠率に差がないとする論文もいくつかあります。
初期胚の時に認められたフラグメンテーションはその後消えていくことも多く、グレード1~4までどのグレードでも、その後胚盤胞まで育っていく確率には差がないという報告もあります。
さすがにグレード5はよくないと思いますが、グレード1とグレード4で妊娠率、胚盤胞到達率に差があることが証明されていないので、この分類を使っていない病院もあると思います。
現時点では初期胚で受精卵の評価をするのは難しいかもしれません。
胚盤胞のグレード
胚盤胞の評価はガードナーの分類が使われることが多いと思います。
単純なグレードというのではなく、ちょっと複雑な分類です。
まず胚盤胞の成長の程度によってステージが付けられます。ステージが高ければちゃんと成長していて良い胚盤胞ということになります。
次に中の細胞の状態を評価します。
内細胞塊というのは胚盤胞の中に盛り上がっている細胞の塊で、将来胎児になる部分です。
栄養外胚葉というのは胚盤胞の周りにある細胞で、将来胎盤になる部分です。
合計3つの項目を、成長のステージ・内細胞塊・栄養外胚葉の順に評価して4ABとか3BAなどとします。
ガードナーの分類での評価と妊娠率の関係はどうなっているでしょうか。
ステージ1と2は生児獲得率が低いとされています。ただしゼロではなく、ステージ2で20%くらい、ステージ1では10%を切るくらいの確率です。
ステージ5や6、ステージ4のAA・AB・BAは良い胚盤胞と考えられ、生児獲得率は50%近くになります。
グレード3もしくは内細胞塊や栄養外胚葉の評価にCがあると妊娠率、生児獲得率が落ちるという報告もありますが、それでも40%近くの生児獲得率があるという報告もあります。
以上に示したデーターは、報告によってかなり差があるので参考程度に考えてください。病院によって評価の仕方が違っていることが多いので、症例数が多いのであればその病院のデーターが一番参考になると思います。
今回解説した受精卵の評価法は、その瞬間の受精卵の形で評価するものですが、時間を追って観察することでより多くの情報を得て評価する方法も研究応用されてます。
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まとめ
受精卵の評価は気になりますよね。評価することもできないような受精卵は胚移植しても妊娠しないと思いますが、評価が低くても妊娠する可能性はあります。
評価法にもいろいろなものがあり、どれが一番いいのか決まっていません。その病院独自の評価法を使っているところも多いと思います。今のところ絶対的な評価法があるわけではありません。
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