子宮内膜症は性交痛の原因となって、妊娠・夫婦関係に問題が起きることがあります
お腹の中の子宮内膜症が広がって行くと、性交痛の原因となります。
そうなると、うまくタイミングが合わせられなくて妊娠しにくくなったり、セックスレスになって、最悪離婚してしまうこともあるようです。
子宮内膜症と性交痛の関係、その治療法などについて解説します。
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子宮内膜症はなぜ性交痛の原因となるのか
性交痛には膣の入口や膣が痛いタイプと、膣の奥から下腹部が痛いタイプがあります。
子宮内膜症の場合は、主に膣の奥から下腹部が痛いタイプになります。
子宮内膜症は上の絵の様に、お腹の中でポツポツと斑点状に広がって行くとこが多いです。この絵は子宮を背中側から見ているところで、子宮の背中側に直腸があります。
子宮と直腸の間(ダグラス窩と呼ばれます)に子宮内膜症が広がると、性交痛の原因となると言われています。
子宮内膜症のところには血管や神経が伸びてくるので、そこが刺激されると痛みを感じます。ダグラス窩は性交の時に刺激を受けるところなので、ここに子宮内膜症があると、性交痛の原因になります。
子宮の後ろから直腸の脇を通って骨盤につながっている、仙骨子宮靭帯という靭帯があります。この靭帯には子宮からの神経が通っているので、特に仙骨子宮靭帯に子宮内膜症が広がると性交痛が強くなると言われています。
子宮内膜症と性交痛の関係
報告によってさまざまですが、子宮内膜症の人の30~40%に性交痛があるという報告が多いです。
子宮内膜症の症状として最初に出ることが多いのが生理痛です。子宮内膜症が広がると、生理の時以外でも下腹部痛がある・性交痛があるなどの症状が出てきます。
性交痛がある人は、常に下腹部痛を感じている人が多いです。
性交痛があると、性交に興味がなくなる、満足できなくなるということになって、性生活がなくなってしまうこともあります。
海外の報告ですが、性生活がなくなってしまうことや、それによって子供ができにくくなってしまうことで、子宮内膜症のある女性の15%が夫婦の関係が悪くなってしまったり、8%が離婚してしまったというデーターもあります。
性交痛を治す治療はあるのか
手術療法
子宮内膜症の部分を取ってしまうことで、性交痛がよくなって、性交に満足できて回数も増えると考えられています。特に仙骨子宮靭帯の部分を取るのが痛みに効果があると言われています。
子宮内膜症は直腸の表面にあったりするので、完全に取るには腸も一緒に取らなければならないこともあります。腸を取ってでも子宮内膜症をしっかり取った方が、症状はよくなると考えられますが、術中や術後の合併症が多くなるので難しいところです。
一方で、手術をしてよくなっても、再発することがあって、2年後には5~22%、5年後には5~40%が再発するとされています。
手術療法に関しては、いろいろな術式があるのと、大規模な研究がないので、本当に効果があるのか、どの様な方法がいいのかまだ確立されていません。
ホルモン療法
子宮内膜症の生理痛などの症状をよくする方法として、ピル・黄体ホルモン・GnRHアゴニストどのホルモン療法が使われています。
これらの薬を使うことによって、生理痛だけでなく、性交痛・生理以外の下腹部痛もよくなって、性生活の質が向上したという報告もいくつかありますが、大規模な研究がないので効果ははっきりしていません。
これらのホルモン療法は、気分が落ち込む・不安感が出るなどの副作用が出ることがあるので、性生活にとって逆効果になることもあります。また、ホルモン療法をしている間は妊娠できません。
ホルモン療法は、痛みに対しては効果があることが多いですが、費用がかかる(月5,000~10,000円)、妊娠できないなどの欠点があります。
まとめ
子宮内膜症による性交痛・・・ 治療は難しいですね。
痛みの原因が子宮内膜症だとわかることで、性生活に対する不安がなくなって、できるようになるという報告もあります。
逆に考えると、性交痛がある人は、子宮内膜症がある可能性があります。妊娠を考えているなら、早めに診断・治療を受けてください。
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