子宮内膜が薄いってどういうこと?
子宮内膜は受精卵が着床する重要な場所です。
不妊の治療が長くなってくると、「子宮内膜が薄いので着床しにくい状態です」などと言われることがあるかもしれません。
知っておきたい妊活と子宮内膜の関係を産婦人科医が解説します。
子宮内膜の生理周期の変化
子宮内膜は生理に時期によって大きく変化します。
生理直後は出血とともに子宮内膜が流れ出て子宮内膜は薄い状態です。
排卵に向かって徐々に厚くなっていきます。
この時卵巣では排卵に向かって卵胞が大きくなっています。この卵胞から出るエストロゲンの働きで子宮内膜が厚くなっていくのです。
排卵日頃には子宮内膜の厚さは10mmくらいになっています。そして排卵後には子宮内膜の状態が大きく変化します。
卵巣では排卵した後、卵胞が黄体に変化します。この黄体か出るらプロゲステロンの働きで、子宮内膜は受精卵が着床しやすい状態に変化するのです。
妊娠するためには、まず子宮内膜がエストロゲンによって厚くなって、排卵した後にはプロゲステロンにより着床しやすい環境に変化することが必要なのです。エストロゲンとプロゲステロンの共同作業が必要ということですね。
では実際にどのように見えるのでしょうか。超音波で見てみましょう。
排卵前にはくっきりと3本線が見えるのが特徴で、写真bのような状態であれば妊娠しやすい状態だといえます。
排卵後には線がわからなくなって全体が白くなります。
子宮内膜は生理直後には2~3mmになり、排卵直前には8mm以上になります、
生理直後でも子宮内膜が厚い場合は子宮内膜ポリープがあるかもしれません。まれですが子宮内膜増殖症という病気の場合もあります。
排卵後に本当に子宮内膜が着床しやすい状態になっているかを確認するには、子宮内膜組織診といって子宮内膜を削り取って顕微鏡で調べる必要があります。
以前はこの検査もされていましたが、今はほとんどされていません。痛い検査であることと、採血でプロゲステロンが十分に出ていて排卵時の子宮内膜が8mm以上であれば、子宮内膜の状態も大丈夫なことが多いからです。
子宮内膜が厚くならないのはどういう時でしょうか
普通に排卵している状態で排卵時に子宮内膜が薄いということはほとんどありません。
流産を繰り返して、何度か流産の手術をしている場合には子宮内膜が厚くなりにくくなる可能性があります。
また、排卵誘発の内服薬のクロミッドという薬があるのですが、この薬はエストロゲンの働きを抑えるので、子宮内膜が厚くなりにくくなります。使い始めは大丈夫ですが、長い間(半年)使っていると子宮内膜が厚くならなくなって、せっかく排卵して受精しても、受精卵が子宮につかなくて妊娠しないということになってしまいます。クロミッドを使って排卵誘発を行なっている場合は子宮内膜に注意する必要があります。
まとめ
子宮内膜ってあまりなじみがない言葉だと思いますが、受精した卵が着いて育つというとても重要なところです。排卵時の厚さが重要だということを覚えておいてください。