凍結胚移植の時は自然周期とホルモン周期のどちらが良いのでしょうか
凍結胚移植にはたくさんのメリットがあるので、胚移植はほとんど凍結胚移植になってくると思われます。できるだけいい状態の時に胚移植をしたいですよね。
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凍結胚移植はメリットがいっぱい
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凍結胚移植には自然周期でやるのとホルモン周期でやる方法があります。どちらがいいのか解説します。
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自然周期
生理不順の人、すなわち排卵が順調に起きない人は、自然周期の胚移植が難しいのでホルモン周期での胚移植になります。
自然周期の時は、超音波や採血で排卵日を確認して、排卵日から5日目に胚盤胞を移植します。
排卵日の確認方法
超音波で排卵を確認するのは、どうしても病院に通う回数が多くなってしまうので、HCGで排卵を起こす場合が多いと思います。
胚盤胞は受精後5日目に凍結しているので、排卵日の5日目に移植します。ちょうど自然妊娠の場合に、胚盤胞が子宮に着床する時なので、自然に近い状態で胚移植をすることができます。
胚移植後は、黄体から黄体ホルモンが出るので、黄体ホルモンの補充はいらないと思われますが、軽めの黄体ホルモン補充をすることもあります。
ホルモン周期
生理の3日目くらいから卵胞ホルモンの内服もしくはテープ剤を開始します。少ない量から始めて、だんだん増やしていくやり方もありますが、面倒なので最初から同じ量で続けることも多いと思います。生理の12日目くらいに超音波で子宮内膜の厚さと自然排卵が起きていないかを確認します。ホルモン周期の場合、自然排卵が起きてしまうとホルモンの状態がくるってしまうので良くありません。
子宮内膜が8mm以上で卵胞が大きくなっていなければ準備OKです。採血で卵胞ホルモンが高くなっているか(300pg/mlくらい)、黄体ホルモンが高くなっていないか(自然排卵が起きていない)を確認することもあります。子宮内膜が薄かったり、卵胞ホルモンが低ければ卵胞ホルモンを続けます。
準備OKとなったら、黄体ホルモンを開始します。膣剤を使うことが多いかと思います。
黄体ホルモンを開始した日を排卵日と考えて、胚移植をします。
卵巣からは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが出ないので、妊娠できたらそのまま妊娠8週くらいまで卵胞ホルモンと黄体ホルモンを続ける必要があります。
自然排卵を起こさないようにするには
生理の3日目から卵胞ホルモンを始めると自然排卵は起こらないことが多いです。でも、もし自然排卵が起きてしまうと、卵巣から卵胞ホルモンや黄体ホルモンが出てしまうので、子宮内膜の状態が予定していたのと違う状態になってしまって、着床しなくなってしまう可能性があります。
GnRHアゴニストを生理が始まる1週間前くらいから始めることで、排卵が起きないようにして、卵巣からの卵胞ホルモンや黄体ホルモンが出ないようにできます。
病院によってはホルモン周期の時には全例GnRHアゴニストを使っているところもあると思います。
卵胞ホルモンのテープ剤
卵胞ホルモンのテープを1回3枚くらいお腹に貼ります。2日ごとに貼り替えます。
ホルモン周期のメリット
- 外からホルモンを投与することで、ホルモンを調節して子宮内膜の環境を整えることができる
- 卵胞ホルモン開始時に、胚移植の日が特定できることが多い
子宮内膜の環境は自然周期の方がいいという意見もあります。
胚移植の日が特定できるのはいいですよね。
ホルモン周期のデメリット
エストラーナテープの効能書きには「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には使用しないこと」と書いてあります。
生まれた赤ちゃんの生殖器の異常や膣癌の報告があるからです。ただし、過剰に使ったり、合成ホルモンを使った時にリスクがあるので、エストラーナテープなどの天然の卵胞ホルモンを自然の量で使っている場合は、あまり心配ないと思います。もともと妊娠中も卵巣や胎盤から出ているわけですし、多くの人が使ってきた実績もあります。
ただ、効能書きにそう書いてあることは理解しておいてください。
自然周期とホルモン周期のどちらがいいのか
自然排卵が起きにくい人はホルモン周期での胚移植になりますが、順調に自然排卵がある人はどちらがいいのでしょうか。
コクラン・レビューやヒューマン・リプロダクション・アップデートの複数の研究をまとめた報告では、自然周期とホルモン周期で、妊娠率や生児獲得率に差はなかったとされています。
ただし、現時点では研究数が多くないので、それらをまとめたとしても、十分信頼性のあるデーターにはなっていないようです。
まとめ
自然周期とホルモン周期とどっちがいいと断言することはできません。
その病院の先生の好みもあると思います。
ちゃんと排卵がある人は自然周期でもいいでしょう。年齢、不妊期間、排卵の状態、子宮内膜の状態などを考えて、ホルモン周期が選択されます。