子宮卵管造影の実際–不妊症の検査
不妊症の検査の中で、子宮卵管造影はちょっと特別な検査です。「子宮卵管造影検査は痛い」などと聞くと不安になりますよね。今回は子宮卵管造影の実際について産婦人科医が解説します。
子宮卵管造影って痛いの?
答えは「痛い」です。
もちろん私が実際に受けたわけではないのですが、実際に検査をしていると、程度はありますが皆さん痛そうです。
狭い子宮の中から卵管へ圧力をかけて造影剤を流し込むので、子宮や卵管が刺激されて痛いのです。お腹の中に流れ出た造影剤がお腹の中を刺激して痛みを起こすこともあります。
声を出したり、体をよじるくらい痛がる人が多いですね。20人に1人くらいは検査後気分が悪なってしばらくベッドで休むことが必要になります。
でも、1時間くらい休めばほとんどの人が回復して帰宅できます。
子宮卵管造影をする前に注意すること
造影剤にはヨウ素が入っているので、ヨウ素にアレルギーがある人は検査ができません。昆布など海藻にアレルギーがある人、以前造影剤を使った検査でアレルギーがあった人などは先生に言ってください。
重症な甲状腺の病気がある人は、症状が悪化する可能性があるので造影剤は使えません。
子宮卵管造影はいつするの?
生理が始まった日から7~10日目くらいにします。
生理の出血があるうちはできないし(わずかな出血なら大丈夫)、排卵に近くなると子宮内膜が厚くなってわかりにくくなります。
子宮卵管造影のやり方
子宮卵管造影はレントゲンを使うので、レントゲン室で行います。
ちょっと硬いベッドに横になって上を見ると、レントゲンを出す機械があります。
ベッドをスライドさせてちょうどいい位置にレントゲンが当たるよう調節します。
これで準備完了で、検査が始まります。
膣の中をよく消毒します。造影剤と一緒にバイ菌が子宮に入っていくと困るので良く消毒しなければなりません。
子宮の入り口から造影剤を入れる管を子宮の中に通します。子宮の入り口が狭かったりすると通すのに手間取る場合があります。
子宮の中に管が入ったら、管の先にある風船を2ccくらいの水で膨らませます。管が抜けないようにするのと、造影剤が膣の方に漏れてこないようにするためです。風船を膨らませる時、生理痛のような痛みがあるかもしれません。
レントゲンのスイッチが入って、造影剤が注入されていきます。
注入された造影剤は、まず子宮の中に貯まって、その後卵管へ入っていき、卵管の先からお腹へ流れていきます。その様子をレントゲンで観察します。ここが一番痛いところです。
注入が終わったらレントゲン写真を撮影して検査が終了です。
検査が終わってしばらくしてからもう1枚レントゲンを撮って造影剤のお腹の中での広がり具合を見て、卵管周囲の癒着の状況を確認します。
どうしても痛みに対して不安な方は、子宮卵管造影の日程が決まった時に先生に相談してください。痛み止めの座薬をもらって、検査の30分前くらいに使うと少しはいいかもしれません。
卵管造影でなにがわかるか
正常な子宮卵管造影
異常例
子宮 子宮の中に筋腫やポリープがあるとそこに造影剤が貯まらないのでわかることがあります。
子宮の形の異常 双角子宮など(滅多にありませんが)
卵管 卵管の付け根でつまっているか、先の方でつまっているかなど
卵管周囲の癒着 造影剤の広がりを見て判断しますが、わからないことも多いです。
検査後の注意点
出血
子宮に管を入れたことなどの影響で少し出血があるかもしれません。また、子宮の中に貯まった造影剤(黄色がかった透明)が後からおりものとして出てくることもあります。心配ないので様子をみてください。
感染
よく消毒してやるのですが、まれに子宮、卵管、腹膜に炎症を起こすことがあります。
検査時には予防的に抗生剤を飲んでもらうことが多いと思います。
帰ってからお腹が痛くて熱が出たら病院へ連絡してください。
卵管造影は治療になることもあります
卵管に造影剤を通すことで、ちょっとしたつまりが解消したりした卵管の動きがよくなって妊娠しやすくなることがあります。
実際、卵管造影を行なった直後の排卵で妊娠する人もいます。卵管造影をした後は、しっかりタイミングを合わせてみてください。
まとめ
子宮卵管造影は正直痛い検査です。でも、もし万一両方の卵管がつまっていたら、いくらタイミングを合わせたり、人工授精をしても妊娠しません。とても重要な検査です。子宮卵管造影をすることによって妊娠しやすくなることもあるので、頑張って受けてください。