顕微授精で生まれた子供は先天異常のリスクが高くなります
体外受精・顕微授精で生まれた子供は先天異常のリスクが高くなるという論文が多いです。それには、いろいろな理由があると考えられています。
2017年に発表された最新の論文をご紹介します。
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顕微授精と自然妊娠の先天異常のリスクの比較
まず論文の結論を見てみましょう。
21の論文をまとめた研究です。ICSIで妊娠出産した人が1,959人、自然妊娠で出産した人が117,463人です。すべて単胎妊娠で、多胎妊娠は除いています。
先天異常のリスクは、顕微授精が7.1%、自然妊娠が4.0%で、明らかに顕微授精の方が先天異常が多いという結論でした。
この論文は、体の機能に影響したり、手術が必要となるようなメジャーな先天異常だけでなく、マイナーな先天異常も含まれているため、先天異常の%が高くなっています。
メジャーな先天異常だけを比較した論文を見ると、体外受精が2.3~9.1%、自然妊娠が1.5~6.1%くらいと報告されていて、体外受精の方が先天異常のリスクが30%くらい高くなるようです。
顕微授精で先天異常が多くなる理由
まず考えられるのが、自然妊娠の場合、先天異常があって22週以前に中絶したり流産したというケースが報告されていなくて、先天異常の数が少なくなっている可能性です。体外受精・顕微授精で妊娠した人はしっかり管理されていることが多いので、報告率が高いと考えられます。
体外受精・顕微授精の操作によるものとしては、
- 受精卵を体外で操作する
- 受精卵を凍結する
- 顕微受精で卵子に針を刺す
などが影響している可能性があります。
そして、おそらく最も大きな理由として考えらるのが、体外受精や顕微授精をしなければならないくらい妊娠しにくい場合は、卵子や精子の遺伝子に異常が起きやすくなっているために先天異常が増えるということです。
体外受精・顕微授精の操作そのものは関係ないということですね。
同じような不妊の状況の人で、体外受精・顕微授精で妊娠した人と、たまたま自然妊娠できた人で先天異常の割合を比べれば、体外受精・顕微授精自体の影響を調べることができるのですが、そのような研究は難しいため、まだありません。
ちなみに、体外受精と顕微授精の先天異常のリスクの違いは、顕微授精の方が1.1倍くらいリスクが高いという論文が多く、大きな違いはないようです。顕微授精の操作自体はあまり先天異常に影響しないのかもしれません。
まとめ
新しい論文でも、自然妊娠と比べると顕微授精の先天異常のリスクは高いようです。
その理由はいろいろ考えられますが、体外受精・顕微授精の操作によるものというより、精子や卵子の状態の影響の方が大きいのではないかと思われます。
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