子供ができなことで受ける心理的影響は女性と男性で違う?
不妊の治療を受けている人は、たくさんのストレスを受けています。実際に多くの検査や治療を受ける女性の方が負担は大きく、女性の心理状態を調査した研究はたくさんあります。
一方で、男性の心理状態を調査した研究はあまり多くありません。男性は病院を受診することもほとんどないので、心理状態の調査に協力してもらうのもなかなか難しいようです。
2016年のヒューマン・リプロダクション・アップデートに不妊治療がなかなかうまくいかなかった時の男性の心理状態の調査をまとめた報告がありました。
男性が受ける心理的影響は女性とは違ったところもあるようです。
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不妊治療で男性が受ける心理的影響
男性が不妊治療で受けるストレスにはどのようなものがあるでしょうか。
射精することのプレッシャー
タイミング療法をする時には、排卵のタイミングを超音波で確認したらHCGを注射して排卵する時間を確定して、その時間に合わせて性交渉をしてもらいます。
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どうしても性交渉しなければならないというプレッシャーから勃起・射精ができないというケースがたまにあります。20歳代の男性ならまず大丈夫でしょうが、30代後半から40歳代になると、そういうケースも見かけるようになります。
性交渉でうまく射精できない時は、一度落ち着いてスポイト法を試してみてもよいと思います。
スポイト法とは
治療によるストレス
無精子症の人は精巣内精子採取術を受けることになるかもしれませんが、この手術はかなりストレスを感じる人も多いと思います。
術後に強い痛みで苦しむということはあまりないですが、傷がこすれやすい場所なので、しばらくはかなり気になると思います。
不安や気分の落ち込み
無精子症と診断された場合、夫婦ともに100%の人が、アンケート形式の検査で、中くらいの気分の落ち込みを示すスコアになっています。
さらに、検査や精巣内精子採取術で精子がないであろうと診断された場合、男性の約90%が強い気分の落ち込みの状態になっています。この時、女性の方は中くらいの気分の落ち込みの状態で、最初と変化はありませんでした。
検査で異常がなかった夫婦は、不安のスコアが軽く高くなっていますが、気分の落ち込みのスコアは全員正常でした。検査に異常がなければ、この段階ではそれほど心理的影響は強くないようです。
男性と女性の違い
男性の場合、診断・治療を開始して1年くらいは心理的影響を受けますが、その後はある程度適応していく人が多いようです。治療開始して数年たつと、子供を欲しいという気持ちも軽くなっていくことが多いようです。
このへんは、女性との間にギャップが生まれてくることがあると思われます。
不妊が原因で離婚になるというケースもありえないことではないですが、このヒューマン・リプロダクション・アップデートの論文では、時間がたつと夫婦関係も安定することが多いと報告しています。
まとめ
ヒューマン・リプロダクション・アップデートのデーターは海外のものです。欧米では子供ができなかった時には養子縁組をすることが多いです。
日本人の場合、不妊治療を続けるか子供をあきらめるかという選択肢になることが多く、今回紹介したデーターが当てはまらないところがあるかもしれません。
不妊治療をしている病院には、不妊症看護認定看護師や不妊カウンセラーがいることが多いので、ためらわないで相談してみてください。
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