排卵するまでのホルモンの精密な働き
排卵するためにはいろいろなホルモンが複雑につながりあって働くことが必要です。またひとつのホルモンがいろいろな働きを持っています。よくできてるなと感心することが多いです。
妊活のために妊娠のメカニズムを知るには、このホルモンの働きを理解することが重要です。
妊娠するためのホルモンのメカニズム
女性ホルモンが作られるまで、言い換えると排卵が起きるのは図のようなホルモンのつながりで成り立っています。どこかに異常があると排卵が起きなくなります。
視床下部
視床下部からGnRHというホルモンが出て下垂体からのホルモンの分泌を促します。
体重の急激な変化やストレスなどで排卵が起きなくなるのは視床下部の働きが悪くなっているからです。
GnRHという言葉は、妊活の始めにはあまり話題にならないですが、体外受精に進んだり、子宮筋腫・子宮内膜症がある時には重要になってくるので頭の片隅に入れておいてください。
下垂体
下垂体から出るホルモンはFSHとLHです。まとめてゴナドトロピンと呼ばれます。この2つは、排卵にとても重要なホルモンです。
FSH(卵胞刺激ホルモン) 卵胞を大きくして排卵に向かわせるホルモンです。排卵日に向かって増えてきます。
LH(黄体刺激ホルモン) 大きくなった卵胞が排卵するのを刺激するホルモンです。
LHサージというのが刺激になって排卵が起こります。LHサージという言葉は覚えておいてください。排卵した後の卵胞を黄体にしてプロゲステロンの分泌を促す働きもあります。
卵巣
卵巣から出るホルモンがいわゆる女性ホルモンと呼ばれる、エストロゲンとプロゲステロンです。
FSHの働きで卵胞が育ってくると、卵胞からエストロゲン(別名:卵胞ホルモン)が分泌されます。エストロゲンは子宮内膜の細胞を増やして子宮内膜を厚くします。
FSHとLHの働きで排卵が起こると、卵胞は黄体に変化します。そこからプロゲステロン(別名:黄体ホルモン)が分泌されます。プロゲステロンは厚くなった子宮内膜を受精卵が着床しやすいように変化させます。
このようにいろんなホルモンの働きで排卵が起きて妊娠が成立します。
生理の時期によるホルモンの変化
ホルモンは生理の時期によって大きく変化します。
生理の時は全てのホルモンが一番低い状態になっています。この時に採血でホルモン検査をします(基礎ホルモン値)。
FSHの刺激で卵胞が大きくなるにつれてエストロゲンが増えていきます。
そして排卵の直前にLHが急に増えてすぐに減っていきます。これがLHサージです。
LHサージは排卵を考える上で重要なことなので詳しくご説明します。
卵胞からのエストロゲンが高くなるのが引き金となっってLHサージが起こります。
卵胞から脳に排卵の準備が整ったという報告が行き、それに答えて脳(下垂体)から排卵を命令するLHが出るのです。
図のようにLHが出ているのは約48時間です。上昇するのが14時間、ピーク時間が14時間、下がるのに20時間です。
排卵はLHが上昇し始めてから34~44時間の間に起こるとされています。ピークからは12~18時間後になります。
これは排卵の時期を知る上で重要なポイントになります。
まとめ
排卵を調節している複雑なホルモンのメカニズム。妊活をしていると、ここであのホルモンが働いているんだなと思う場面がしばしば出てくると思います。
今回は、ホルモンの最も基礎的なところを解説しました。妊活中にホルモンの話が出たら、この記事で再確認してください。