肥満と男性不妊の関連について解説します
日本の男性の肥満の割合は約30%で、この10年間ほとんど変わっていません。
肥満の定義は日本肥満学会の診断基準の
BMI(Body Mass Index、体重/身長2)が25以上
です。
思っていたより多い印象ですが、BMI35以上の高度肥満は1%以下です。
男性が肥満だと妊娠しにくくなるのでしょうか?
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肥満男性と不妊症
肥満男性と不妊症の関連を調べた研究はたくさんあります。
男性が肥満だと不妊症(1年以上妊娠しない)になる割合が20~50%増えるという報告が多いです。BMIが25以上くらいだと20%くらいで、高度肥満になると50%くらいになります。思ったほど高くはならないようです。
肥満の男性は体外受精での生児獲得率が35%くらい低くなって、流産率が倍になるという報告があります。特に変わらないという報告もあるので、追加の検討が必要です。
肥満と精液検査
男性の肥満は精子の数にはそれ程大きな影響を与えないようで、BMIが25%を越えると総精子数が10~20%くらい少なくなるという報告が多いです。不妊症が増えるというほど少なくなるわけではなさそうです。
肥満と男性ホルモン
肥満男性では男性ホルモンが低くなっているというのは多くの研究で証明されています。男性ホルモンが低くなることが精子を作るのに悪影響を与えている可能性が考えられています。
ダイエットや手術などでBMIが正常になると男性ホルモンも正常になるとされています。
勃起障害のあるひとの79%が肥満だったという報告があって、肥満と勃起障害は関連があると考えらえれています。男性ホルモンの低下がひとつの原因となっていると思われます。
生まれた子供への影響
まだ動物実験のデーターがメインになりますが、肥満(高脂肪食を食べた)のオスの子供は、糖尿、肥満、高脂血症になりやすいというデーターがあります。オスの精子が肥満によって影響を受けて、子供に伝わると考えられています。人でのデーターはまだほとんどありません。
まとめ
男性肥満の直接的な不妊への影響はそれ程大きくはないようです。
とはいっても、子供に影響が出る可能性があるし、肥満による糖尿病・動脈硬化などの合併症のため子作りどころではなくなることもあります。
体重を減らす・毎朝長所を食べる・くだものや野菜を多く食べるなどによって、妊娠の可能性が高まるという報告もあります。子供のためにも肥満の改善にトライしてください。