排卵誘発剤は副作用が心配?
排卵誘発剤と聞くと「副作用がありそう」、「費用がかかりそう」とったイメージがあるのではないでしょうか。
確かにそのイメージは正しいところもあると思います。でも、妊娠するためには必要になることもあります。
生理の周期が39日以上なら希発月経と診断されます。このような場合、生理の何日目に排卵するかがその月によって大きく変わることが多いので、タイミングを合わせるのが難しくなります。確実にタイミングを合わせて早めに妊娠するには排卵誘発剤を使う必要があります。
今回は排卵誘発剤についての理解を深めていただきたいと思います。
内服の排卵誘発剤 クロミッド(セロフェン)
どんな時に使うのか
- 排卵障害があってはっきりした原因がわからない
- 多嚢胞性卵巣症候群
基礎ホルモン検査でエストロゲンが低い場合はクロミッドを使っても排卵しないことが多く、注射が必要になります。
使い方
生理の5日目から1日1錠で5日間内服します。効果がなければ1日2錠に増やします。
生理の12日目くらいに超音波で卵胞の大きさを測ります。
卵胞が十分大きくなったら、HCGという注射をして排卵を促します。HCGはLHと同じ働きをもっています。人工的にLHサージを起こして、排卵を引き起こすのです。
卵胞が十分大きくなったらというのはどのくらいのことをいうのでしょうか。
実は自然の排卵と比べると、クロミッドを使っている時は排卵のタイミングか変わってきます。
クロミッドを使っている時は、卵胞が25mmを超えてから排卵することが多いので、超音波で卵胞の大きさが23mmを超えたくらいでHCGを注射します。
HCGを注射することでLHサージが始まったと考えられますので、注射をした後、33~44時間後に排卵します。なのでHCGを注射した翌日にタイミングを合わせることになります。
クロミッドを使うと75~80%の人がちゃんと排卵するようになります。1回での妊娠率は5%くらいです。
クロミッドの副作用
多胎妊娠
子宮内膜が薄くなる
注射の排卵誘発剤
排卵をするには卵胞が大きくなることが必要です。卵胞を大きくするホルモンは・・・FSHでしたね。よって注射の排卵誘発剤というのはFSHを薬にしたものです。
閉経後の女性はFSHが高くなるので、閉経女性の尿からFSHを精製して作ったのがHMG製剤と呼ばれる排卵誘発剤です。FSHとLHは構造が似ているのでHMG製剤を作る際にFSHだけを取り出すのは難しく、LHが混ざったものになってしまいます。LHが多く含まれているHMG製剤を多嚢胞性卵巣症候群の人に使うと卵巣過剰刺激症候群になる可能性が高くなるので注意が必要です。
FSHを人工的に合成して作ったのがFSH製剤です。100%FSHです。値段が高くなります。
FSH製剤、HMG製剤の種類です。
HMG製剤でもかなりFSHの純度が高いものがあります。
FSH製剤には自宅で自分で注射するタイプのものがあります。「ペン」「カートリッジ」と書いてあるものです。
値段はこちらを見てください。
FSH製剤・HMG製剤の使い分け
クロミッドで排卵しなかった・基礎ホルモン検査でエストロゲンが低いなどの場合、注射での排卵誘発をすることになります。
ふつう最初に使われるのは、高純度HMG製剤もしくはHMG筋注用「F」だと思います。
LHが多く含まれているFSH製剤を使うのは
- 下垂体機能が低下している(もともとLH、FSHが低い)
- FSH製剤で反応しなかった
- 年齢が高い
合成FSH製剤を使うのは
- 年齢が若い
- 自然排卵ある
- 多嚢胞性卵巣症候群
FSH製剤・HMG製剤の使い方
注射のやり方は様々ですが、ふつう生理の3~5日目から毎日(1日おき)注射します。5日間くらい注射したら超音波で卵胞チェックです。
注射の場合、卵胞が20mmを超えたくらいで排卵しますので、卵胞が18mmを超えたらHCGを注射します。まだなら排卵誘発剤の注射を追加してまた卵胞チェックです。
多嚢胞性卵巣症候群などで卵巣過剰刺激症候群が心配な時は、ステップアップ法といって少量から初めて、卵胞の発育がなければ増やしていくという方法を使います。
連日注射した場合は次の周期は注射をせず卵巣を休めるのが望ましいです。
FSH製剤・HMG製剤の副作用
内服よりも多胎妊娠のリスクが高くなります。卵巣過剰刺激症候群にも注意が必要です。
まとめ
排卵誘発剤のことをわかっていただけたでしょうか。
- クロミッドは使い続けて、子宮内膜が薄くなってしまうことに注意
- 注射は多胎妊娠・卵巣過剰刺激に注意