AMHで多嚢胞性卵巣症候群が診断できる?
AMHが低い人は卵巣の予備能が少なくなっていて、体外受精の時の排卵誘発の反応が悪くなるのでしたね。
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AMHと卵巣予備能〜あなたは誤解していませんか?
AMHが低いと妊娠できないの? 「AMHが低い=妊娠できない」というイメージが広がっているように思いますが、皆さんはどうですか? AMHが低くてもちゃんと排卵して妊娠する可能性は十分あります。 ...
逆に高すぎるのもちょっと問題になります。AMHが高ければ卵巣予備能がたくさんあっていいように思うのですが、どういうことなのか解説します。
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多嚢胞性卵巣症候群とAMH
多嚢胞性卵巣症候群の人はそうでない人と比べるとAMHが2~4倍高いとされています。
最近の日本のデーターでは多嚢胞性卵巣症候群の人のAMHの中央値が7.02、多嚢胞性卵巣症候群でない人の中央値が2.36と報告されています。
AMHは4mmくらいの小さな卵胞で最も多く作られていて、卵胞が10mmを越えると作られなくなります。多嚢胞性卵巣症候群では小さな卵胞がたくさんあるため、AMHが高くなります。数が多いからだけではなく、1個の小さな卵胞からでるAMHの量も増えると考えられています。
日本の多嚢胞性卵巣症候群に診断は
- 月経異常(生理の周期が39日以上)
- 多嚢胞卵巣(超音波で卵巣に小さな袋がたくさんある)
- 男性ホルモンが高い、またはLHが高い
があることでしたね。この項目には男性ホルモン・LHはありますが、AMHはありません。
AMHの値を多嚢胞性卵巣症候群の診断に使えないかという研究はたくさんあって、4.3~5くらいを基準値にすると、多嚢胞性卵巣症候群の人の80~90%が基準値以上になります。
思春期あるいはそれ以前でも多嚢胞性卵巣症候群だとAMHが高くなるとされていて、多嚢胞性卵巣症候群の早期診断にも役立つと考えられます。
クロミッドによる排卵誘発とAMH
多嚢胞性卵巣症候群の人はクロミッドを使うと排卵することが多いのでしたね。
AMHは卵胞の発育を抑える働きがあるので、AMHが高いとクロミッドが効きにくいと考えられます。
いくつか論文があって、AMHが3.5~8.4以上だとクロミッドが効きにくいと報告されています。
卵巣過剰刺激症候群とAMH
多嚢胞性卵巣症候群の人は卵巣過剰刺激症候群になりやすいです。AMHの値で卵巣過剰刺激症候群になる可能性を予測できるかとうい研究も多くあり、AMHが3.5~4以上だと卵巣過剰刺激症候群になる可能性が高くなるようです。AMHが高い人が排卵誘発を受ける際には、卵巣過剰刺激症候群にならないように予防を考える必要があります。
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AMH検査の問題点
AMH検査は現時点で保険適応になっていません。自費での検査となるため5,000~10,000円くらいの費用がかかります。
またAMHを検査する方法がいろいろあるため、検査の方法により値が違ってくる可能性があります。この記事の説明でAMHの基準値がXX~OOというように幅があるのは、論文によって検査法が違っているせいもあると思います。
まとめ
AMHが低いからといって妊娠しにくいということはありませんが、AMHが高すぎる場合は、多嚢胞性卵巣症候群で卵巣過剰刺激症候群になりやすい可能性があるので注意が必要です。