多嚢胞性卵巣症候群の人が精神的に不安定になりやすい理由は
不妊治療を受けている人はいろいろなストレスを抱えていると思います。子供ができないことのプレッシャー、検査・治療を受けるにあたっての不安などですね。
なかでも多嚢胞性卵巣症候群の人は、精神的に不安定になりやすいと言われています。
その理由や、どの程度のものなのか、論文をもとに解説します。
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多嚢胞性卵巣症候群の人が精神的に受ける影響
多嚢胞性卵巣症候群の人は排卵障害で妊娠しにくくなるというだけでなく、生活習慣病にも気をつけなければならないのでしたね。
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妊娠できないことによるストレスだけではなく、肥満・多毛・メタボリックシンドローム・高血圧・糖尿病などからもストレスを受けることになります。
また、多嚢胞性卵巣症候群は男性ホルモンが高くなることがあるのがひとつの特徴です。男性ホルモンの中には不安や神経過敏を起こす作用をもつものがあります。
このような多くの理由が重なって、多嚢胞性卵巣症候群の人は精神的に不安定になりやすいと考えられています。
実際にどのくらい精神的な影響を受けているのかのデーター
2012年のヒューマン・リプロダクション・アップデートの多くの論文をまとめた報告では、多嚢胞性卵巣症候群の人はそうでない人と比べて、気分が落ち込む・不安を抱えているなどの程度が強かったとしています。アンケートから計算したスコアで程度を決めています。ただし、治療が必要なほどスコアが悪かった人は少ないようです。
2017年5月により多くの論文をまとめた報告が出ました。多嚢胞性卵巣症候群の人はそうでない人と比べて、気分が落ち込む程度の強い人が約2倍、強い不安を抱えている人が3倍近く多いとしています。体重をマッチさせて体重の影響を除いても結果は変わらないようです。
男性ホルモンと不安
多嚢胞性卵巣症候群の人では、男性ホルモンの一種のDHEASというホルモンが高くなるほど、不安のスコアが高くなるというデーターがあります。気分が落ち込むスコアとは関連がないようです。
まとめ
多嚢胞性卵巣症候群の人は気分が落ち込む・不安を抱えているということが多いようです。子供ができないこと、肥満あることなどの理由以外にも原因があるようです。男性ホルモンが影響している可能性があります。
なかには精神的に不安定になる程度が強い人もいるようです。不妊治療をしている病院には、不妊症看護認定看護師や不妊カウンセラーがいることが多いので、気になることがあったら相談してみてください。
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