多嚢胞性卵巣症候群の人から生まれてきた女の子は多嚢胞性卵巣症候群なるか
多嚢胞性卵巣症候群の原因はまだわかっていません。ただし、多嚢胞性卵巣症候群には遺伝的なところがあるのではないかと考えられていて、家族にも関連した病気のリスクが高くなっているという報告があります。どういうことなのでしょうか。
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生まれた女の子は多嚢胞性卵巣症候群になりやすいか
生まれた女の子が将来、排卵障害になって妊娠ににくくなる率が高くなるかということについては、データーがほとんどありません。
思春期になった女の子を調べたデーターは多くあります。
卵巣の大きさ
多嚢胞性卵巣症候群の人の卵巣は、嚢胞がいっぱいあるだけでなく普通の人と比べて大きいのが特徴と言われています。多嚢胞性卵巣症候群のお母さんから生まれた思春期の女の子は、そうでない女の子と比較して卵巣の大きさが2倍くらいだという報告があります。
ホルモンと血糖
多嚢胞性卵巣症候群の特徴としてLHや男性ホルモンが高い、糖尿病予備軍の人が多いなどがありましたね。
多嚢胞性卵巣症候群のお母さんから生まれた女の子は、LHは高いというわけではなく、男性ホルモンは高めで、糖分を取った時のインシュリンの反応が高くなるという報告があります。
特に思春期後半になると男性ホルモンが高くなる、糖尿病予備軍の検査に引っかかるなどの傾向が出てくるようです。
ただし、男性ホルモンは高くなく、糖尿病予備軍も多くないという報告もあるので、はっきりしているわけではありません。
多嚢胞性卵巣症候群の人の兄弟姉妹は?
多嚢胞性卵巣症候群の人の姉妹を調べると20%くらいが多嚢胞性症候群と診断されたという報告がいくつかあります。一般的な多嚢胞性卵巣症候群の頻度は5~10%といわれているので、頻度は多いと思われます。男性ホルモンも高くなっていると報告されています。
男性はどうかというと、多嚢胞性卵巣症候群の人の兄弟はやはり男性ホルモンが高いことが多いようです。またAMHも高くなっていて、男性にも多嚢胞性卵巣症候群の体質があるのではと考えられています。
気になるデーターとして、多嚢胞性卵巣症候群の人の兄弟は30歳以前の若ハゲのひとが20%くらいいて、一般的な若ハゲの割合の5~7%と比べると割合が高いという報告があります。
私は、多嚢胞性卵巣症候群の人に「兄弟で若ハゲの人はいますか」と聞いたことはないので、実感はありませんが、30歳以前の若ハゲが20%というのは多いですよね。一度、聞いてみたいと思いますが、ちょっと聞きにくいです。
男性の多嚢胞性卵巣症候群の実際の症状がどういうものなのかというのはわかっていません。必ずしも精子が少ないということはないようです。
まとめ
多嚢胞性卵巣症候群は家族に多いとされていて、以前から遺伝的な原因があるのではないかと考えられています。原因遺伝子を解明する研究が行われていますが、まだ突き止められてはいません。環境の影響もあると思われるし、多嚢胞性卵巣症候群の診断基準が日本と海外とでは違っていたりして診断自体にあいまいなところがあるなどが、原因遺伝子の解明を難しくしています。