妊活のためにはほどほどの運動を
ほとんど運動していない人や、趣味で強めの運動をしている人などいろいろな人がいると思います。
妊活中の運動はどのくらいすればいいのでしょうか。
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運動量と妊娠しやすさの関係
運動は、糖尿病・心筋梗塞・うつなどいろいろな病気のリスクを減らすことがわかっています。
運動と妊娠の関係を調べた研究は、意外に多くありません。とくに最近の新しい研究はほとんどないですね。
過去の研究を見てみると大体同じ結論になっています。2012年のファーティリティ アンド ステリリティという雑誌に載っていた論文をご紹介します。
激しい運動と妊娠
女性アスリートの3主徴というものがあります。
- 利用可能エネルギー不足
- 無月経
- 骨粗鬆症
です。
これは、単に激しいトレーニングだけが原因ではありませんが、エネルギー不足・ストレス・体重低下などによって視床下部性無月経になります。
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排卵が起きにくい原因 〜生理不順の方へ産婦人科医が解説します
生理不順すなわち排卵しにくい原因は 排卵が起きれば必ず生理がくる(妊娠していなければ)ので生理が不順ということは、排卵がうまくいっていないということです。もちろん排卵しなければ妊娠しませんし、生理不 …
ふつうの人がする運動とはちょっとレベルが違う話ですが、アスリートレベルになると生理すなわち排卵に影響してきます。
今回紹介する論文で激しい運動としているのは
ランニング・高速のサイクリング・エアロビクス・ジム・スイミングなどです。
1週間にこれらの運動を何時間くらいするかと妊娠しやすさの関係を調べています。
結果のグラフです。妊娠のしやすさは激しい運動時間が0の人を1としています。激しい運動の時間が長くなると、妊娠しやすさが低くなっていきます。
他の論文でも、毎日激しい運動をしている人は、全く運動をしていない人と比べて、不妊の問題をかかえている人が3.2倍になると報告しています。
激しい運動がなぜ妊娠しにくい原因になるのか、その理由ははっきり解明されていません。
週4時間以上激しい運動をしていると、体外受精の時の受精卵が着床しない率が倍になるという報告があるので、着床への影響が考えられています。
どうも激しい運動は妊娠するためにはよくないようですね。
運動量と妊娠しやすさの関係は体重によるかも
BMIが25未満の人と25以上の人に分けて調べると、BMIが25未満の人は激しい運動が多くなると、より妊娠しにくさが増しています。
BMIが25以上の人は激しい運動の時間が多くなっても妊娠しにくくならないというか、わずかですが妊娠しやすくなる感じです。
こちらの記事でBMIが25以上の人は体重を5~10%落とすことをお勧めしました。
BMIが高い人は、体重減少の効果がでるものと思われます。
軽めの運動と妊娠
軽めの運動というのは
ウォーキング・レジャーサイクリング・ゴルフ・ガーデニングなどです。
軽めの運動は時間が長くなるとわずかですが妊娠しやすくなるようです。
運動をしていない人の妊娠しやすさを1とすると、週に5時間以上軽い運動をしている人の妊娠しやすさは1.18とわずかに高くなっています。
運動と精子の関係
男性の場合はどうでしょうか。
運動量と精子の状態の関係は、運動している人は精子の状態がいい・変わらない・悪い、とさまざまな結果の論文があって、はっきりしません。
精子への影響を調べるには過去1年間くらいの状況を確認する必要があると考えられること、運動の種類によって違ってくるなど影響があると思われます。
運動の種類としては、サイクリングはよくないようです。睾丸を圧迫したり、睾丸の温度が高くなることが悪いと考えられます。
ただ、良くも悪くも妊娠率が変わるほどの影響はないようです。
まとめ
一番最初に書いたように、運動はいろいろな病気のリスクを減らすので、「運動しないほうがいいですよ」とは言いにくいのですが、激しい運動は妊娠しやすさを低くする可能性があるようですね。
でも、適度な運動は悪くはないようです。またBMIが25以上の人はやはり運動をした方がよいでしょう。