タイムラプスって聞いたことありますよね
iPhoneのカメラのタイムラプスを使ったことありますか?私はずっとタイムプラスだと思っていました。
受精卵を観察して評価するのにもこのタイムラプスが使われています。
今までの受精卵の評価はある時期に観察してその形から判断していました。
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タイムラプスを使った方法は、培養器の中にカメラを設置して継続的に受精卵の観察をして評価しようというものです。
胚移植するのは原則1個ということが推奨されているので、いかにして良い受精卵を選んで移植するかが重要となってきます。
タイムラプスで観察することのメリット
タイムラプスを使わない場合、受精卵を観察するために、受精卵を培養器から取り出して顕微鏡で観察します。胚盤胞まで育てて胚移植あるいは凍結保存するまでに4~5回は観察します。短い時間ですが、培養器から出すことで、温度や外気が変化して受精卵に悪影響が出ることが懸念されます。
タイムラプスで観察すれば培養器から一度も出すことなく観察できるので、受精卵に悪影響がないと考えられます。
実際のところ、4~5回培養器から出してもほどんど影響はないと思いますが、高齢の方などでもともと受精卵が弱い場合は影響が出るかもしれません(私はそれほど影響はないと思っていますが)。
タイムラプスの大きなメリットは、連続して観察することで受精卵の発育の速度を測ったり、普通は見逃してしまう変化を確認できるということです。
タイムラプスで何がわかるのか
まずはタイムラプスで受精卵の成長を観察した動画をご覧ください。
受精卵が分裂していってヒトになっていく始まりを見ていると思うとちょっと感動しませんか?
タイムプラスで観察することにより、胚盤胞まで成長する受精卵・着床妊娠しやすい受精卵・染色体異常のない受精卵などを見分ける方法の研究が進んでいますが、今のところ広く普及した方法は見つかっていません。
よくないとされるのは
- 最初の細胞分裂で細胞が3つになってしまう(ふつうはもちろん2つになります)
- 4細胞期以降に多核細胞(ひとつの細胞に角が複数ある)を認める
- 68時間以内に8細胞まで進まない
- 2細胞からひとつの細胞だけ分裂した3細胞状態が長い(8時間以上)
- 112時間を過ぎても拡張胚盤胞になっていない
などの場合がありますが、他にもいろいろな条件を提案している研究があって、何が一番いいのかわかっていません。
タイムラプスでは観察できるポイントが多過ぎて、かえってどこを見たらいいのか混乱している状況です。現時点ではタイムラプスの評価が今までの評価法より優れているという確証はありません。
まとめ
タイムラプスを使うことで、受精卵の形だけでなく時間による変化を観察することができます。得られる多くの情報をどのように評価するのかが、今後の課題です。