トランクス着用で「精子の量と質」が向上:最新調査で裏付け
YAHOO!ニュースにこのタイトルの記事が出ていました。
前からこのようなことは言われていたと思いますが、「ヒューマン リプロダクション」の2018年8月号に出た論文がYAHOOニュースに取り上げられたようです。
論文を見ながら解説します。
ボクサーを着用している人は、そうでない人と比べて精子の数が多い
では、さっそく論文をみてみましょう。
ボストンのマサチューセッツ総合病院を受診した不妊症カップルの男性656人を対象にした研究です。
ボクサーを着用している人が345人、そうでない人が311人です。論文では「トランクス」ではなく「ボクサー」と呼んでいます。トランクス以外とは陰嚢に密着するようなタイプのもので、丈の長さにより「ジョッキー」「ブリーフ」「ビキニ」などになります。
ボクサーを着用している人はそうでない人と比べて、精液1mlあたりの精子数が19%多く、総精子数も17%多かったそうです。特にジョッキー(膝上まで丈があるタイプ)が一番精子濃度が少なかったようです。
精子の運動率や奇形率には明らかな差はありませんでした。
またボクサーを着用している人は、採血でFSHの値が14%低くなっていました。
FSHは脳下垂体から出るホルモンで、睾丸を刺激して精子を作るのを調整しているのでしたね。
精子が作られにくくなると、頑張って精子を作ろうとしてFSHが高くなります。
-
-
男性不妊の原因と治療–薬を飲むとよくなる?【産婦人科医が解説】
不妊症の原因の半数近くは男性にあります 精液検査をお願いすると、「だんなが、大丈夫だからって言って嫌がって協力してくれないんです」というケース、多いです。なにを根拠に大丈夫と言っているんでしょうかね …
なぜ「ボクサー」の方がいいのか
睾丸は体から離れたところにぶらさがっているので、通常の体温より温度が低くなっています。32~35℃くらいと言われています。
睾丸の温度が2℃高い状態が4ヶ月続くと精子数が少なくなるという論文があります。
インフルエンザなどで39℃以上の発熱が2日間続くと、1ヶ月後には精子が顕微授精が必要なレベルくらいまで少なくなってしまって、もとに戻るのには2ヶ月半くらいかかるというデーターがあります。
陰嚢が体に密着すると体温と同じくらいの温度になってしまうので、精子が作られにくくなってしまうと考えられます。
できればトランクスにしておいた方がいいと思います
きつい下着を履いていると精子が少なくなるという論文は他にもあります。ただし、変わらないとする論文もあります。
この論文も656人のデータなので、それほど信頼性の高いデータというわけではないと思います。
とはいえ睾丸の温度が高くなると精子が作られにくくなるというのは確かなので、できればトランクスにすることをオススメします。