いろいろ検査をしたけれど原因は見つかりませんでした。さて、どうしましょうか。
妊活を始めたけどなかなか妊娠しないので、病院へ行って一通りの検査を受けたけど、異常はありませんでした。異常なところがあればそれに対する治療をしますが、異常がない場合、どう治療すればいいのでしょうか。
検査をしても、10~20%の人は異常が見つからないと言われています。もう少し自然に様子を見てもいいのか、排卵誘発・人工授精などの治療に進んだ方がいいのか。
データーを見ながら解説します。
自然にタイミングを合わせるのと人工授精の比較
原因不明不妊と診断された後、6ヶ月間自然にタイミングを合わせた人の妊娠率が25%、排卵誘発して人工授精をした人の妊娠率が25%で、妊娠率に差がかったという報告があります。
6ヶ月間で25%しか妊娠していないところが気になりますが、意外?なことに妊娠率は変わらないのですね。ただし、この二つを比較した論文はほとんどないので、はっきりとした結論はまだ出ていません。
自然にタイミングを合わせるのと体外受精の比較
原因不明不妊と診断された後、3ヶ月間自然にタイミングを合わせた人の妊娠率が14%、体外受精を1回した人の妊娠率が32%で、体外受精の方が妊娠率が高かったと報告されています。
体外受精は3~4ヶ月に1回しかできないので、自然にタイミングを合わせるのは3ヶ月間で比較しています。
さすがに体外受精は妊娠率が高いですね。自然に妊娠する可能性もあるような人たちなので、体外受精であれば1回でこのくらい妊娠する可能性はあると思います。
とはいうものの、原因不明ということは排卵、卵管、精子とも正常なので、いきなり体外受精に進むというのはどうかと思います。
早めに治療をした方がいいのはどんな時でしょうか
治療した方が妊娠の可能性が高くなるポイントとして
- 年齢
- 不妊期間
- 今まで妊娠したことがあるか
が重要だという報告が多いです
この3つ見覚えありませんか?
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妊活の参考に!1年以内に自然妊娠できるかを予測するプログラム
不妊治療が必要か診断するプログラム オランダの研究者が1年以内に自然妊娠できる可能性を予測するプログラムをネットで公開しています。ちょっとおもしろいので紹介します。 ただし、このプログラムに関して ...
こちらで紹介した、1年以内に妊娠できるかを予測するプログラムに出てきた項目ですね。
このプログラムでは妊娠の可能性が40%以下なら、治療をすることを勧めています。
その後このプラグラムを作った人たちが、妊娠の可能性が30~40%となった人を、自然に様子を見る人と人工授精をする人に分けて半年間でのどのくらい妊娠するかを比較しています。
自然に様子を見た人の妊娠率が27%、人工授精をした人の妊娠率が23%で妊娠率には差がありませんでした。
「自然に様子を見た人の妊娠率が30~40%になっていないじゃないか」とツッコミを入れたくなると思いますが、30~40%というのは1年以内の妊娠率なので、1年様子を見ていれば妊娠率は30%超えてくると思われます。
ということは、このプログラムで診断して、30%以上の数字が出たら、半年くらいは様子を見てもいいかもしれませんね。
このプログラムは38歳を過ぎた人は対象になりません。38歳を過ぎた人は治療開始が進められるということです。
まとめ
実際に診療していると、子供ができないということで受診した人に、「もう半年間自然にタイミングを合わせて様子を見てください」というのはなかなか納得してもらえないことも多いので、検査で明らかな原因が見つからなくても治療に進むことが多いです。
30歳以前で、タイミングを意識している期間が短かったような人は、様子を見るように勧めていることが多いです。でも、この年齢をどこで区切るかというのは難しいですね。
実際のところ、最終的にはご夫婦の希望に沿うかたちになることが多いです。
ご紹介したプログラムも参考に主治医と相談してください。